【サテライト】関西ステップアップリーグ vsセレッソ大阪サテライト【ユース】2012Jユースカップ 決勝トーナメント準々決勝 vs柏レイソルU-18

November 23, 2012

【ユース】2012Jユースカップ 決勝トーナメント2回戦 vs川崎フロンターレU-18

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 グループリーグにて首位通過を決めたガンバ大阪ユースは、決勝トーナメントで1回戦をシードされ、2回戦からの登場となった。2回戦の相手は、東京ヴェルディユースやアルビレックス新潟ユースと同居しながら新潟についで2位突破を決めた川崎フロンターレU-18。ヴェルディユースと言えばプレミアリーグEASTで優勝を決めた強豪中の強豪。新潟ユースと言えば、12月のプレミアリーグ参入戦で激突する、この冬のガンバユースにおいて目下最大の「敵」と呼べるチーム。そんなチームが同居するグループを勝ち抜いてきた川崎U-18は、警戒しなければいけない相手だった。

 ガンバとしてみれば、ホーム万博で試合が出来る強みがあるだけに、「地の利」を存分に生かして戦いたいところ。冷たい雨が試合前には降っていたが、いつもの練習場での試合に比べればギャラリーも多かった。何より万博スタジアムという聖地で、青と黒の戦士たちに自分たちらしく戦い抜いてもらうことを期待したいところだった。



ガンバ大阪ユース5−1川崎フロンターレU-18
@万博記念競技場
得点者:(ガンバ)'31薮内健人、'47・'71・'74小川直毅、'88中村文哉 (川崎)'51吉田直矢


 シードが無かった川崎U-18は先週も試合を行った一方で、ガンバはシード権を確保したことで試合間隔が開いてしまった。この辺りがコンディション面でも影響するのか。また、グループステージ最終戦では少し選手を入れ替えて臨んだガンバだったが、トーナメント入りしてどのようなメンバーでこの試合を迎えるのだろうか。ここのところ毎試合選手構成を変えるガンバだが、この試合も少しずつ構成を変えてきた。



ガンバ大阪【ユース】 JY杯vs川崎フロンターレU-18
9 出岡大輝(3) 11 薮内健人(3)
8 東宏樹(2)10 小川直毅(2)
7 徳永裕大(3)5 福田浩規(3)
6 内田裕斗(2)2 永保尭(2)
3 本屋敷衛(3)4 福川和希(2)
 1 城森康誉(3) 

 まず守備陣の並び。右に永保を置き、CBには福川が戻ってきた。逆に、ここまで右サイドやCBで奮闘してきた和田(一)をベンチに回した。前の試合では中盤でスタート起用された内田も、本職のレフトバックで登場。また中盤には、井手口に代わり東を起用。井手口はなかなかコンスタントに出場できないようで、気がかり。個人的には、毎試合でも彼のプレーを見たいところなのだが…。FWは薮内と出岡の鉄板コンビ。富山戦は結果的に温存となった出岡も元気に登場した。一方の川崎は、U-16代表で中村や林とともに選出されていた三好康児が登場。1年生ながらチームの中心として君臨している。

 立ち上がりから攻勢に出るガンバ。最初のシュートシーンも、福田から小川へ渡ってのもの。福田の正確なパスからスピードを生かした小川の突破という流れは、今年のガンバには無くてはならない攻撃のカタチであるが、そのストロングポイントもしっかり使っての攻撃でリズムを作る。その直後には、薮内から徳永がシュートを放つもGK正面に。今度はその徳永から内田へ出すと、ゴールラインギリギリのところからクロス。ゴール前ではクリアされるも、こぼれ玉を出岡がミドルシュート。クロスを上げた内田も、その後ミドルを放つ。右から左から中央からと、あらゆる角度から川崎ゴールを脅かすガンバ攻撃陣。しかし、攻勢の時間帯に得点が奪えず、徐々に耐えていた川崎に流れが傾き始める。
 15分を越えてから、川崎がセカンドボールを拾おうと果敢なチェイスからのボール奪取でリズムを掴み始める。なかなか相手陣内へボールを運べなくなり、相手のセットプレーも増え出していった。ガンバとしては、苦しい局面の中カウンターから決定機を作り出そうとチャンスをうかがう戦いへとシフトチェンジ。縦に速く攻撃を仕掛け、試合のペースを取り戻そうとしたのかもしれない。ただ、苦しい中でガンバが思いも寄らない形で先制点を挙げることになる。31分、相手GKが味方バックラインへセーフティーに出したボールに対し、川崎守備陣がうまく収めることができない。そこへ出岡がプレスをかけてボール奪取。素早くターンをすると、慌てた相手守備陣の裏を薮内が突こうと動き出す。出岡は落ち着いてスルーパスを通すと、薮内がGKと1vs1の状況へ。これを薮内は冷静に決めて、ガンバが待望の先制点を挙げることに成功する。

先制点となった薮内の得点直後。笑顔炸裂!

 先制してリズムを引き戻したいガンバは、再び立て続けに攻撃のリズムを掴んでは相手ゴールへ迫る。城森からのフィードに対して走り出していた薮内へ直接渡ってそのままシュート。一気にゴール前へ迫った場面だったが、これは決めることが出来ず。また、この試合では内田も積極果敢に攻撃参加。ゴールライン際からの粘り強いクロスを上げたかと思えば、得意の突破を防ごうと縦を切られたものの強引にシュートにまで持ち込んであわやのシーンを作り出すなど、積極的だった。また、右サイドからは小川がスピードを生かしての飛び出しと突破で相手を翻弄。小川のクロスから薮内が飛び込んだ場面もあわやという惜しいシーンだったが、わずかに合わずに決められなかった。ただ、その内田と小川がサイドでの主導権を握り迫力のある攻撃を生み出していたことは間違いなく、この後の試合運びにも重要な存在となりそうな予感が漂っていた。
 前半の終盤にカウンターを食らう場面はあったが、しっかりと対処して無失点で前半終了。ゴール前までは確実に押し込めているものの、最後の一手に欠け、得点は1点止まり。我慢するところは我慢しつつ、特にサイドを有効にして攻勢を強めたいガンバ。後半の爆発が期待された。

 後半開始時にメンバーチェンジは無し。前半攻撃面では相手に脅威を与えられた分、攻めきって得点差を広げたいガンバだったが、その思惑通りに事が運ぶ。47分、右サイドで小川が受けると、そのままジリジリとドリブルでゴールへの距離を詰める。そして最後でギヤを上げると、一瞬の早業で右足を振り抜いてシュート。これが見事にゴールへ突き刺さり、点差を2点に広げることに成功。小川の武器である、縦に抜き出るスピードを散々ちらつかせておいてから、サイドでの1vs1の仕掛けからシュート。裏へ飛び出るスピードもあれば、突破にかかった時の速さも強烈な武器。その強みをしっかり証明することができた、小川のゴールだった。
 しかしその4分後、お約束と言わんばかりの失点。右サイドで与えたFK。U-16代表三好によるFKを、吉田が押し込み1点を返す。相手チームながら、三好のキックはバリエーションと精度が豊富で見ていて楽しい選手。いずれ今以上に名が轟く選手になるかもしれない。
 あっさりと1点を返してしまったガンバは、ここから再び我慢の時間帯が続く。立て続けにピンチを迎え、あわやのシーンも作られてしまう。落ち着いて試合を進めたいガンバの狙いに対し、川崎が運動量でそれを阻む。玉際へのプレッシャーも厳しくなりうまくボールを繋げることができない。一本のパスで裏を破ろうとするも、出し手と受け手の狙いにズレがあったり、フィードの精度も足りなかったりと攻撃が散発的に。こうなればガンバのペースは生み出しにくくなるし、リズムも相手に渡してしまうことになる。この時間帯を凌ぎきれるかどうかが、ガンバの勝敗の分かれ目になりそうな時間帯だった。
 しかし、リズムを引き戻したのは、またしても小川。チーム2点目と似たような形で受けた小川は強烈なシュートを放つ。惜しくもバーに嫌われるが、このシュートからガンバのリズムが再び活性化しだす。すると71分、左サイドから流れてきたボールをペナルティエリアの外、正面で福田が受けると、右へ流れながらエリア内に進入してシュート。シュートは枠を捉えるも、ゴールライン上にいた川崎DFにギリギリでクリアされてしまう。だがそのクリアボールに反応したのは、またも小川。クリアボールをダイレクトでシュートすると、幾重にも立ちはだかる川崎DFをかいくぐるようにすり抜けてゴールイン。もし相手DFがいないコースを狙ってのシュートだとすれば、見事な精度。もしかしたら運も味方したのかもしれないが、それもシュートを打ったからこそ引き寄せられた運。見事な波状攻撃で川崎を突き放すことができた。
 こうなれば完全なるガンバのペース。続く74分、福田が相手陣内の中央、フリーで受けると、浮き玉のスルーパス。このボールを誘い込むように、右サイドから相手DFの裏を破ってボールを受けたのが、またも小川。福田のパスが素晴らしく、小川が受けられた時には完全にフリーの状態。GKと1vs1の状況にも冷静にシュートを放ち、あっという間にリードを広げることに成功。小川による、自身のストロングポイント同様の、電光石火の早業ゴールショー。これにより、完全に試合を掌握したガンバだった。

小川の3点目のゴールを演出した、福田を祝うイレブン。


ハットトリック達成の小川は、梅津監督とハイタッチ。

 リードを3点差に広げたガンバは、ここで選手交代を挟む。3得点でこの日のMVP間違いなしだった小川を下げ、小川同様の次代のスピードスター候補、平尾壮を投入。またその直後には、永保に代えて和田(一)を投入。右サイドの配置を大きく変えてさらなる攻撃に厚みを加える。

ガンバ大阪【ユース】 JY杯vs川崎フロンターレU-18('75〜)
9 出岡大輝(3) 11 薮内健人(3)
14 平尾壮(1)7 徳永裕大(3)
5 福田浩規(3)8 東宏樹(2)
6 内田裕斗(2)13 和田一真(2)
3 本屋敷衛(3)4 福川和希(2)
 1 城森康誉(3) 

 右サイドに和田(一)と徳永、左サイドを内田と平尾で形成。ちなみに徳永は後半、ボランチより左サイドでプレー。そのため東がボランチへ入っていた。今度の交代では、その徳永を左から右へ移すなど、徳永のオールラウンダーぶりをフル活用。徳永や福田、東、和田(一)など一人で複数ポジションをこなせることも、今年のガンバユースの強みの一つになっている。
 交代でチームを活性化したガンバは、この後も続々とチャンスを作る。薮内が低い位置から一気に抜け出してGKと1vs1となるが決め切れなかった場面はとても惜しかった。というか決めなければいけなかった。また、出岡が持ち込み、徳永と平尾が両サイドをそれぞれフォローしながら並走。出岡はどちらに出しても良かった場面で、ストライカーらしく単独突破を選択。しかし相手DFに潰されてしまうなど、決定機はかなりの数に上った。その割にはその辺りを決め切れなかったのは今後の課題かもしれない。
 終盤、さらに3人のメンバーを投入したガンバ。薮内を中村に、福川を白岩に、城森を林にそれぞれスイッチ。温存であり来年も見据えた選手たちを投入しながら試合をクローズさせる。
 しかし、このままで終わらないガンバ。88分には、徳永から中村が決めて5点目を追加。これでもかと殴り倒す姿勢こそガンバのDNA。その真髄を見せ付ける大量5得点で試合を決定付けた。ただ、最後の最後で残念なシーン。後半の早い時間帯に一度警告を受けていた出岡が、二度目の警告で退場となってしまう。二度目の警告は妥当なジャッジだったかもしれないが、そうなると最初の警告(おそらく遅延行為)がくだらないものだったので、より一層悔やまれる退場となってしまった。誰の目にも明らかに落胆した表情で引き上げていく出岡の表情は痛々しかった。

ガンバ大阪【ユース】 JY杯vs川崎フロンターレU-18('終了時)
  19 中村文哉(1)
14 平尾壮(1)7 徳永裕大(3)
5 福田浩規(3)8 東宏樹(2)
6 内田裕斗(2)13 和田一真(2)
3 本屋敷衛(3)17 白岩海斗(2)
 16 林瑞輝(1) 

 最後にケチが付いてしまった試合となったが、試合全体を通して、ガンバらしい試合運びだったことは間違いない。攻撃面では小川や内田のサイド制圧が効き、守備面では福田と本屋敷の安定したセンターラインで破綻を見せなかった。相手に主導権を握られる時間帯もあったとはいえ、自分たちで再びリズムを手繰り寄せられら太ところは、評価したい。強いて言えば、出岡の退場だろうか。あと、GKの城森の不安定さも目立った。この試合は特に安定感が無かったように思われるが、個人的には前半の立ち上がりに相手のミドルシュートを後逸してあわやというミスを犯したことが最後まで響いたのではないかと考える。雨上がりでスリッピーな中、自分の顔ほどの高さのシュートに対して、しっかりキャッチングをするのか、弾いてしまうのかを判断しなければいけないシーンだった。ここで的確に処理できていれば、その後の不安定さも無かったかもしれない。次戦での挽回を期待したい。

 川崎U-18に勝利し、ガンバ大阪ユースのベスト8進出が決定。ホーム万博で試合を行っている以上、どうしても勝利を期待しがちだが、しっかりその期待に応えてくれた。ベスト8の対戦相手は、清水エスパルスユースを延長の末、5-2で破った柏レイソルU-18に決まった。今夏のクラ選優勝チームと、ベスト4を懸けて争うことに。清水・柏のどちらが来ても強豪相手だったが、ここまで来れば楽な試合は1つも無い。苦しい試合になることも予想されるが、何より次の舞台も、聖地万博。普段練習場での試合が多いユースにとって、これ以上のアドバンテージは無い。このアドバンテージをさらに大きくするためにも、ぜひこのエントリを読んでいただいた方には足を運んでもらえればと願うばかり。(ちなみに、同時刻にサテライトも練習場にてSULがあるが、できればこちらの方へ…笑)


冬の王者君臨に向けて、てっぺんまで突っ走ろう!


lifegoeson7 at 23:59│Comments(5)TrackBack(0) '12ユース&Jrユース 

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この記事へのコメント

1. Posted by かる   November 24, 2012 13:22
5 観に行ってました

10点くらい入ってても良いくらいチャンスはありましたが、川崎は強豪なんですね

ここ数年ユースの停滞を心配してましたが、この試合はガンバユースらしい試合見せて貰いました

失点のあっさりっぷり含め

次は柏ですね

久々の優勝見たいです

個人的にガンバベストゲーム 2008のJユースカップ決勝みたいに
2. Posted by anziyasu   November 24, 2012 23:28
かるさん>コメントありがとうございます!
確かにチャンスはめちゃくちゃありましたね…。
ガンバのDNAを感じさせてくれるサッカーを、今のユースは見せてくれるので、それが楽しいです。
柏戦は本当に厳しい試合になるはずですが、やはりガンバのサッカーをしてもらえたらなと思います。
3. Posted by かる   November 25, 2012 18:38
5 小川は素晴らしかったですが代わって入った平尾の方が好みです

平尾は何年生ですか?

中村も決定力あるし来年がさらに楽しみです

ユースから昇格0のようですが、岡崎のような大学で活躍して戻って来て欲しいです(個人的には田中裕人に戻って欲しかったのですが…)



FC東京戦…
小川がいたらと思ってしまいました…

4. Posted by anziyasu   November 25, 2012 19:58
かるさん>平尾壮は1年生ですね〜。あの爆発的なスピードと仕掛けの意識、そして突破力。魅力たっぷりですね。
来年のユースは、ここに世界も経験したJrユースっ子も入ってくるし…楽しみが広がりますね!

今年の三年生は全員進学のようですが、きっと戻ってきてくれる選手がいると信じています。個人的にも今年の3年生には思い入れが強くなってしまいましたしw
5. Posted by たからっち   December 07, 2012 00:48
anziyasuさん

絶対 戻ってきますよ!!

青と黒のユニフォーム 恋しくて・・・(^_^)/


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