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November 11, 2012

【ユース】2012Jユースカップ Eグループ第3節 vsカターレ富山U-18

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 3試合総当りでトーナメント進出を決めるグループステージの、3節目を迎えたJユース杯。初戦Fマリノスユースと引き分けたガンバユースは、第2節でベルマーレユースと対戦し4-0の快勝を収めていた。しかし、日程の関係からFマリノスユースが先に3試合を終えることとなり、ガンバユースがこの試合を向かえる前に3試合を消化済み。その結果、ガンバユースはこの試合で9点以上の得点差を得ないとグループ1位通過ができない状況となってしまった。そんな大量得点が必要な中迎えた相手はカターレU-18。夏のクラ選でも、主力を温存しながら6-0の大差をつけて勝利した相手だったが、今回はそれ以上の結果が必要となる難しいミッション。グループ2位通過となればトーナメントでシードを得られないため、是が非でも1位通過を果たしたいところだった。大量得点が狙えない相手ではないが、そう簡単に大量得点を許してくれるはずも無い。なるべく早く効率よく加点していきたい試合だったが、ガンバユースはそのミッションを遂行できるのか。大量得点が見られることを願い、練習場へと向かった。

 ※予報通りの強雨の為、写真を撮ることがほとんどできなかったので、今回は傘片手にiPhoneで撮ったしょぼい写真のみになります。申し訳ありません…。



ガンバ大阪ユース12−1カターレ富山U-18
@ガンバ大阪第2天然芝グラウンド
得点者:(ガンバ)2'和田一真、'26・'57・'67・'70・'76中村文哉、'46・'61徳永裕大、'53・'79・'83薮内健人、'80井手口陽介 (カターレ)'73馬渡隼暉


 初戦のFマリノスユース、2戦目のベルマーレユースとU-18年代では熾烈な戦いが繰り広げられている関東勢相手に1勝1分で乗り切ったとはいえ、3試合しかないグループステージだけに抜け出すチームが無かったため、混戦となってしまったグループE。この試合の前日、Fマリノスユースが7-0の大差でベルマーレユースを破ったことで、Fマリノスユースとガンバユースの得失点差は8に広がっていた。勝ち抜けに必要なのは9点差。カターレU-18が実力的に落ちることは明らかだったが、サッカーにおいて"狙って大量得点をする"というのはなかなか難しいこと。この大量得点を、どのようにして実現するのか。ミッション遂行を任されたスタメンは以下の通りとなった。

ガンバ大阪【ユース】 JY杯vsカターレ富山U-18
11 薮内健人(3) 9 中村文哉(1)
6 内田裕斗(2)8 小川直毅(2)
7 徳永裕大(3)10 井手口陽介(1)
4 永保尭(2)2 和田一真(2)
3 本屋敷衛(3)5 福田浩規(3)
 1 城森康誉(3) 

 過去2戦でも少しずつメンバーをいじっていたガンバだが、この試合でもメンバーを少しずつ入れ替えて臨んだ。まずFW。出岡ではなく1年の中村に9番を託す起用となった。貪欲な点取り屋を、大量点が必要な試合で起用する梅津監督の狙いなのか、はたまた出岡にも負傷などがあったのか。いずれにしても楽しみな先発起用だった。また最終ラインには永保が、中盤には井手口が長期離脱から復帰。永保をレフトバックに据え、内田を一列上げる選択をした。また福田を最終ラインに入れ、井手口と徳永をボランチに配置。攻撃的に行きたい姿勢が感じられるオーダーだった。

 大量点が欲しいとなれば、当然のことながら早い時間帯での先制点が最低限のミッションになったのだが、そのミッションは軽々とやってのけることに成功。2分、井手口のCKからファーサイドでフリーになっていた和田(一)が頭でドンピシャで合わせて、いきなりゴールネットを揺らした。待望の先制点だっただけに、これで肩の力も抜けて試合を支配できるはずと思われた。その読み通り、完全にボールを支配したガンバはカターレにボールを触らせることもなくポゼッションを高めていく。素早いパス交換に対してカターレ守備陣がまったくついていけず、ガンバの独壇場を思わせる立ち上がりとなった。しかし、惜しいチャンスは作るが、なかなか枠内に押し込むことが出来ない。ようやく奪った追加点は26分。中村が押し込んでのものだった。パスは繋がるし、試合を制圧しているのはガンバだったが、スコアで制圧できていないことが少し不安材料だった。得点を急ぎすぎていたというか、ゴール前にはいけるが崩しきれない。崩しきろうとパスは繋ぐが、シュートに結びつく機会も少しずつ減っていたところが気にはなった。とはいえ前半の半分が終わって2点差。これから加点していければ大量得点も狙えるはず。2点目を奪って、そう思いながら試合を見守っていた。
 降りしきる雨は一層強さと冷たさを増し、ギャラリーを震えさせる。そんな時こそガンバのゴールが見たかったのだが、徐々にカターレの意地が露になっていく。
「ガンバのゴールだけが 俺たちをアツさせる」
その声を聞いてカターレの選手に火がついたのか、これ以上の失点はさせまいとFP10人総出でガンバに対して猛烈なプレッシングを仕掛けるようになった。そのプレスをかいくぐってパスを繋いではゴール前へ運ぶガンバだが、最後のパス1本にカターレの選手たちが食らいついていく。決して美しい守備と言うわけではないのだが、失点したくないその一心でゴールを守ろうとしているカターレの選手たち。その気迫の前に、ガンバは徐々にゴールから遠ざかってしまう。いつもであれば、もう少しゆったり回して相手の急所を突くパス回しで打開できるのだが、この試合に関してはガンバも大量点というミッション故に、攻め急いでいた部分もあったように見えた。井手口のパスも中へ中へと通そうとしていたように見えたし、2列目に入った内田の突破は、サイドを破ることはできても相手を崩すには決して有効なタイミングではないことが目に付いた。小川のスピードも、相手の裏を破ることには有効だったが、ゴール前へ折り返した時には守備意識の高いカターレ選手が帰陣してしまった後だった。2点を幸先良く奪ったガンバだったが、攻め急いでしまっていたこともあり、なかなか追加点を奪えずに時間だけが経過していくことに。見守る我々も、どうにも歯痒い気持ちのまま、前半を2-0のまま終えることになった。


ガンバ大阪【ユース】 JY杯vsカターレ富山U-18(後半〜終了時)
11 薮内健人(3) 9 中村文哉(1)
7 徳永裕大(3)8 小川直毅(2)
10 井手口陽介(1)5 福田浩規(3)
6 内田裕斗(2)4 永保尭(2)
3 本屋敷衛(3)2 和田一真(2)
 1 城森康誉(3) 

 後半、メンバーチェンジも無く迎えたガンバ。しかし、ポジションに着く選手の配置に変化が。まず永保を右サイドへ移し、和田(一)を本職のCBへ。2列目に入っていた内田を最終ラインへ戻し、中盤の左サイドには徳永を上げた。空いたボランチの位置には福田を一列上げ、井手口とのコンビを形成。やや縦に推進力を求めたような前半の布陣に比べ、従来のバランスを保つような布陣に戻したガンバ。この変更が試合にどう影響を及ぼすのか。
 この布陣変更が功を奏したのか、試合はいきなり動く。46分、左サイドから中央へ入ってきて徳永が押し込んで待望の追加点を奪った。できれば3点目は前半のうちに欲しかったが、これだけ早い時間帯であれば十分。前半もう少し奪いたかった得点を取り戻すべく、ここからのゴールラッシュに期待がかかる。
 ところがこの徳永の得点時に、相手GKが負傷したため交代をするのだが、どうも様子がおかしい。慌ててメンバー表を確認すると、ベンチにGKが入っていないことに気付く。どうやらこの試合に帯同していたカターレのGKはスタメンの一人だけ。そんな時に限ってGKが負傷してしまったため、FPのベンチメンバーが急遽GKを任される事態になっていたようだった。カターレにとっては不運としか言いようが無い。ちなみに負傷したGKも14歳と登録されていたのでU-15の選手と思われる。ガンバにとっては、相手の不運とはいえラッキーと捉えるしかない事態。ここから畳み掛けることだけに集中したいところだった。
 すると53分、今度は薮内がエリア内からシュート。GKであればセーブできたようなシュートだったが、止めきれずにネットの中へ転がっていくゴールで4点目を奪うことに成功。カターレの守備陣も、前半途中から大量失点だけは食い止めようと奮闘していたが、3失点目からGK負傷、そしてこの4失点目で気持ちが切れかけている様子だった。その結果、ここからガンバの得点ラッシュが始まることに。57分に中村がこの日2点目となるゴールを奪って以降、4〜5分ペースで中村・徳永・薮内が得点をし、猛攻を見せる。完全に崩しきったゴールもあれば、相手のミスもあったりと、試合としては壊れてしまっていたが、あくまでガンバの目標が9点差以上ということもあって、点を取っても取っても貪欲に攻め続けていく。レギュレーションのせいもあってのことだが、少しかわいそうにもなるような展開。これは決してカターレだけではなく、この大会にはよくあることで、もう少しどうにかならないものかと思わされてしまう。もちろん勝っている側だからそんな悠長なことを考えてしまうのだが、相手の立場になったときの事を思うと、少し複雑な気持ちになってしまうのだった。
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 それでも試合は続く。中村が自身4点目となる8点を奪った後に、ガンバは失点。これによりミッション遂行には、さらに得点が必要となり、逆にガンバのモチベーションが上昇。怒涛のゴールラッシュを見せ続ける。73分に失点してからも、76分に中村、80分に井手口、83分に薮内が得点を挙げ、終わってみれば12-1というサッカーとはいささか思えないスコアで試合終了。ガンバとしては無事に9点差以上をつけて勝利したため、グループ首位を奪還。首位でトーナメント進出を決めた。
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 先に書いたように、レギュレーションとして問題もあるかと思わされたこの試合結果。9点差が必要な状況で、相手の不運があったとはいえそのミッションを実現させてしまうのは、この年代ならではのことかもしれない。でも試合の質を考えると、疑問符がついてしまうのは私だけだろうか。プロ同様育成年代でも過密日程が叫ばれる昨今ではあるが、予備予選を設けるなどの措置はあったほうがいいのではないだろうかと、この試合を見て感じた。これはなかなか難しい課題なのだとは思うけれど。大会自体が、Jユース勢+わずかな街クラブのみが参加すると言う大会だからこそ、後発の育成組織を抱えたクラブが悠々と勝ち進むことが難しいのは当たり前。であるならば、大会参加の前に篩いにかけることがあってもいいのではないだろうか。なんとも複雑な思いを抱えてしまった試合後だった。
 だがしかし、ガンバがこの大量点のミッションをしっかり遂行したことは、相手の不運によるものだけではなかったことも大いに、大いに強調しておきたい。というのも最後の11点、12点目を除いて、常に得点後はすぐに帰陣してまだまだ得点を取らねばならないのだと気持ちで示していた選手が、ガンバには多かったことが嬉しかった。"これだけ取ったらもういいだろう"という甘い感情はどこにもなく、ただひたすら貪欲に、チームが一丸となって共通認識を持って得点を狙っていた姿勢を大いに称えたいのだ。相手に情けは無用であり、ただただ必要な得点を狙い、それをしっかり実現していくたくましさは、まさにガンバアカデミーが誇るDNA。トップチームが攻撃的スタイルと標榜するクラブではあるが、この日のガンバユースのような「貪欲さ」こそが攻撃的スタイルだと私は思う。たくさん得点を取ることだけが攻撃的ではなく、大事なことはその「貪欲さ」ではないだろうか。彼らがこれから経験を積んでさらにスケールアップしていくためにも、もっともっと強豪との対戦を増やすことが望ましい。この試合における12得点という結果は、この試合だけにとどまらず、ガンバアカデミーとして重要な要素を再確認できた証だったかもしれないと、レギュレーションのことは差し引いてポジティブに捉えたい。ガンバユースの選手たちが、さらに大きくなるために忘れて欲しくないものを見つめ直せたという意味では、この試合の重要性は、結果的には意外と小さくない試合だったのではないだろうか。

 Eグループを首位で通過したガンバはトーナメント1回戦をシードされ、2回戦から登場。次の対戦相手は正確には発表されていないが、順当に行けば今月23日(祝・金)に川崎フロンターレU-18との対戦になる見通し。今度は快晴の下で、ガンバユースの圧倒的な試合を見たい。トップチームも残留をかけて重大局面を迎えている時期ではあるが、ぜひガンバユースの姿を見に試合会場へ足を運んでもらいたい。今年のチームも、本当にいいチームに育ってきたと感じるし、少しでも多くのガンバサポーターにそれを実感してもらえればと願っている。

lifegoeson7 at 23:59│Comments(0)TrackBack(0) '12ユース&Jrユース 

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